完璧すぎて無理


 顔を見たくないと言ったら、ちょっとキレ気味に「じゃ、目隠しすればいいんでしょ!」と言われた。いや、そう言う意味じゃなくて、お前の顔を近くで見たくないだけ……、と言おうとする前にネクタイで目を覆われた。
 顔を近くで見たくない理由は恥ずかしいからだ。
「何なの、お前。ド変態なの?」
「違うよ。木原君が顔を見たくないとか言うからでしょ」
 そう言いながら唇が触れた。どこがセックスのとき優しいだよ。全然優しくない。大沢の家に連れてこられて、そのままベッドに押し倒されてしまったけど、俺自身、大沢に落ちたのかどうか分かってない。このままずるずるヤるのはイヤだけど、大沢に触られてイヤだと思ってない自分もいる。舌が絡められて、脳が溶ける。コイツ、キス上手すぎるだろ。
「んん……、ふ、ッ……」
 さすがは大企業の課長さんなだけあって、家は俺の部屋の倍以上ある。家賃もきっと倍以上だ。一人で寝るには広すぎるベッドのど真ん中に押し倒されて、色々攻防してから三十分。俺が負けたわけだけど、何だか納得いかない。最終的に目隠しまでされちゃったわけだが、こいつ、どんだけ俺とヤりたかったんだ。恥ずかしくなってきた。
「……電気、電気消せ!」
「絶対イヤ!」
「何でだよ!」
「体見たいからだよ!」
 どうしてそう恥ずかしいことを口走れるのか。おそらく俺とは全く違う人種なんだろう。いや、人間じゃないかもしれない。まだ付き合うとかそんなことひとっことも言ってないのに、勝手に拉致られて連れ込まれて押し倒されて。全部大沢のペースだった。シャツを捲られて、胸にぶにょんとしたのがくっつく。吸われてようやく唇だと分かった。何も見えないから、何されてるか全然分からない。舌の先が俺の乳首を捉える。久しぶりの感覚に足が震えた。
「ッ……! や、やだ……!」
「さっきからやだやだばっかり言ってるけど、こっちはヤる気満々じゃん!」
 そう言いながら、大沢が俺の股間を掴む。口調からしてちょっと俺に怒っているっぽい。言われたとおり、俺はさっきからずっとやだやだばっかり言ってる。だってイヤなんだもん。
「だって全然優しくない」
「優しくしたいけどさぁ、出来ないから仕方ないじゃん」
「うそつき」
「うそを吐かせてるのは木原君でしょ? 俺だってヤりたいもん」
「もんとか言っても可愛くない」
「歯向かう木原君も可愛くない」
 とにかく目隠しだけは絶対にイヤだから、目元を覆うネクタイを外す。前には不貞腐れた顔の大沢が俺を見下ろしてて、俺は半分脱がされかかったとてもみすぼらしい格好になっている。
「先っぽだけでもいいから、入れさせてよ」
 ついにとんでもなくみっともないお願いまでし始めた。ここまで来ておいてダメって言うのもなんだか酷い気がして、仕方なく頷いた。そしたら物凄い勢いで大沢が俺に覆いかぶさってきた。
 柔らかいベッドは衝撃が少なく、ボヨンと俺らの体を揺らすだけだ。いつもこんなベッドで寝ていたら逆に体が痛くなりそうだなとか考えながら、思考は出来るだけ他に外す。煌々とついているライトを見つめて「消せ」と言うと、渋々大沢はライトを消した。俺が折れたから、大沢も折れた。色々妥協した気もするが、仕事で疲れてたこともあったし泣いてすっきりしちゃったから、考えるのはもうやめた。
 俺の気持ちはほとんど大沢に傾いてると思う。でも好きだとか付き合おうって言えないのは、臆病になってしまったからだ。ヤってみれば案外、あっさりことは進むかな。ズボンとパンツを一緒に脱がされて、下半身が外気に触れた。暖房がついてるおかげで、寒くはない。
「木原君」
「……何」
「前向いてよ。つまんない」
 つまんないってどういうことだ。そもそもあまり大沢の顔を見たくないからそっぽを向いているのに。目だけ向けると、不機嫌を露にした大沢が俺を見下ろしていた。
「ほんとにイヤならやめるよ?」
 きっとこの、俺の優柔不断な態度に苛立ちを感じたんだろう。分かっている。俺も相手にこんな態度取られたらムカつく。だけどこのままでいいのか、と疑ってる自分だっているし、なんだか久しぶりすぎて恥ずかしいし、なんで俺なんだろうとか、いっぱい浮かんでは消えていく。そういや好きだと会うたびに告白されたが、なんで好きになったのかは聞かされてない。そもそも第一印象はカッコイイエリートって感じだったのに、二回目の顔合わせで告白されて、このままずるずるだ。一年近く口説き続けられたけど、俺の好きなところは聞かされてなかった。
「俺の、どこがいいんだよ」
「え? 全部?」
「はぐらかすなよ」
 全部って言われると、はぐらかされてる気がする。大沢は真面目に俺の顔を見つめて、「だから全部なんだって」ともう一度言った。今度は真剣な表情だ。
「それに」
 言い返そうと思ったところで、大沢が言葉を続ける。俺を見下ろす目はさっきよりちょっと冷たかった。
「いくら木原君でも、落ちた理由だけは教えてあげない」
「はぁ!?」
 かなりムカついて体を起こすと、「帰る?」と聞かれる。遊ばれてるのか、と思ってしまうほど、あっさりとした言い方だ。でも遊びだったらわざわざ雪の中俺を待ったりしないだろうし、もっと先に飽きている。なのにどうしてこうも意地悪なことを言うのか。この大沢って男が何を考えてるのかさっぱり分からない。
「好きなんだからそれでいいじゃん。好きなところを説明したら、木原君は俺のことを好きになってくれるの? 好きだって言ってくれるの?」
「何だよ、それ。屁理屈じゃん」
「そうだよ。だから言わないの。思い出ぐらい、俺の胸の内に秘めさせてくれたっていいじゃんよ。とにかく今は、ヤるのかヤらないのかはっきりして? ヤらないなら勝手に帰っていいよ」
 そう言って大沢は俺から視線を逸らすとベッドから降りてしまった。ヤる気が失せたのか、背中からは面倒くさそうな雰囲気がだだ漏れだ。妙な脱がされ方をした俺は、どうして良いのか分からなくてベッドに座り込んだ。リビングへ移動した大沢はタバコに火をつけながら、ソファーに腰掛ける。
 なんかやたらと冷たい。でもそれは、俺のせいか。はっきりしない俺が悪いんだ。
「どーしてこんなにも好きだって伝えてるのに、木原君には気持ちが通じないんだろうなぁー」
 大きな独り言のように大沢が言う。目を向けると、ソファーに凭れ掛かった大沢が俺を見て笑っている。どうやら怒っているわけではなさそうだ。それに安堵した。
「一回ヤってみて、ダメだったらダメでいいじゃん?」
「ヤりたいだけだろ、お前」
「ヤったら好きにさせる自信があるからだよ」
 そう言って大沢は灰皿にタバコを押し付けると、俺に近づいてきた。俺に触れようとする指からタバコの匂いがする。イヤだとは思わなかった。
 俺が抵抗するのをやめたら、大沢は優しく俺に触れた。キスするのも嫌じゃなくなって、積極的に絡んでくる舌を受け止めるので精いっぱいだ。遊んできたんだろうなー、とか考えてると口が離れて間近で見つめられた。
「……何考えてた?」
 エスパーかよ、コイツってちょっと引いた。
「いや、なんかその……」
「あ、もしかして緊張してるの?」
 あながち間違ってなかったから、否定も肯定もせずに視線を逸らした。こんなことをするのはかなり久しぶりだから、緊張してないと言えば嘘になる。それでもへらへら笑っている大沢を見ていたら緊張してるなんて言いたくなくなった。
「……そんなことねーよ」
「何、今の。超可愛いんだけど!」
「可愛い言うなよ!」
 怒っても大沢に俺の言葉は通じない。都合が良いと言うか調子が良いと言うか、自分にとって不都合は全く耳を貸さない。自己中というか、自分勝手というか。どちらにしろ、鬱陶しいこの上ない。
「俺、もうちょっと暴発しそうだから、あんまり木原君の言葉聞かないよ」
「……え、あ、は!? ちょ、まっ……」
 待てと言う前に手が下へと伸びる。変に脱がされてたせいか、下はすっぽんぽんだった。冷たい指が俺のペニスを掴んで扱き始める。人に触られるのはかなり久々だったから、驚いて体が跳ねた。首筋を舐められて、足が震える。
「優しくしようと思ってたのに、木原君が煽るからいけないんだよ」
 人のせいにするなって言おうと思ったけど、言い返すことはできなかった。
 大沢は俺を抱きかかえて慣らし始めた。肩に額を乗せて、どこかに掴まってないと今にも崩れてしまいそうだから、大沢の背中に手を回していた。ぐちゅぐちゅと自分の中から、懐かしい音が聞こえてくる。ぴったりと体をくっ付けさせているから、俺のペニスと大沢のがぶつかって熱い息が漏れた。
「ぁ……、ッ、う、んぅ……、あっ……、そ、やっ」
「ここが良いの?」
 俺の反応を見て、中を強く押す。ビクと体が震えて、イってしまった。大沢の腹に掛ってしまって恥ずかしくなる。俯くと俺の体を支えてた手で後頭部を撫でられた。子供をあやしてるみたいだ。
「イっちゃった?」
「……ッ、だ、って」
「ここが気持ち良いんだ」
 何度も何度も確かめながら大沢はゆっくり俺に触れる。暴発しそうとか、煽るとか俺に文句ばっかり言ってたけど、本人の言う通り手つきはとても優しかった。指がもう何本入って来てるのか分からない。とにかく与えられる快感が多すぎて辛くなっていた。
「あー、俺、コレじゃぁ入れた途端にイきそうだな」
「……え?」
 大沢は自分のを触りながら呑気にそう言う。俺より一つ年上でそれはまずいんじゃないのかとちょっと疑いながら見ると、「ごめんって」と謝られる。
「ま、俺、復活早いから一回出しちゃえば大丈夫だって」
「早漏?」
「違うよ。失礼だな」
 ムッとする大沢の顔を見てたって何を考えてるかさっぱり分からない。元々、コイツはこう言う奴だ。俺とは人種が違うんだから、何を考えてるか探ってみたって分かるはずがない。大沢は俺をベッドに寝かせると、足を持ち上げる。
「木原君の中に入れるって思うだけで凄く興奮してんだって」
 ああ、もう、そう言う恥ずかしいことは口走らないで欲しかった。何も言わなくても俺の気持ちは勝手に通じてしまったようで、大沢はニコニコと笑いながら俺の尻にペニスをあてがう。イかされるほど慣らしてくれたから、挿入はスムーズだった。でも体の中に大きいものが入ってくる感覚は今でもちょっと辛い。唇を噛みしめてると、「ん……」と声が漏れてくる。顔を上げるといつもは強気の大沢が、ちょっとだけ弱気な顔をしてた。
「ヤバいな。超気持ち良い」
「……そういう、こと、言うなっ!」
「しょうがないじゃん。ここに入れたくて仕方なかったんだから。俺の脳内では木原君凄いことになってたんだよ?」
「バッ、何考えてるんだよ!」
「そりゃ、もう、めちゃくちゃにしまくってた」
 大沢が妖艶に笑う。その顔を見てときめいた俺もちょっとバカで、ついつい顔を逸らしてしまう。何で今のセリフで笑うんだ。信じられない。口元を手で押さえてると、大沢の手が俺の額に伸びて撫でられる。
「我慢できないからとりあえず一回イっていい?」
「は、え……、ちょ、うご」
 動くなと言う前に大沢が動き出した。まだちょっと辛かったから、激しく動かされると体が悲鳴を上げる。
「ああ、ッ、や、いっ……、ん、いたっ」
 思ってたより体を揺さぶられて、咄嗟に大沢の腕を掴んでしまった。体内に吐き出されてるのを感じながら、中で出しやがったとか文句を心の中で言う。それを口に出せなかったのは、イったにも関わらず大沢のペニスが萎えてないからだ。動きを止めていたのは一瞬で、またすぐに動き出した。
「な、やぁ、ん……、あっ……、まだうごく、なっ……!」
「えー、萎えてないうちに動いとかないと。木原君もだいぶ、気持ちよくなってきたみたいだね」
 そう言いながら、大沢が俺のペニスを触る。鈴口を指で弄られて体が勝手に反応する。動くのをやめないから、中からも刺激されて口元が緩くなった。
「ま、俺もかなり木原君の中気持ち良いけどね。どお?」
「ん、ふざ、あっ……、ッ、んんっ……、ふ、あ……、ああっ」
 気持ち良いところは把握してるのか、良い場所を突いてくるから言葉にならない。声を抑えるのも苦しくなってきて、息を吐くのと一緒に声も出してしまう。大沢は体を屈めると、俺の鎖骨を舐めて甘噛みする。
「さっきみたいに手を背中に回しても良いんだよ」
 反論するのも面倒で言われた通りに手を背中に回す。まさか俺が素直に動くと思ってなかったようで、大沢は顔を上げて俺を見る。間抜け面で面白かったけど、さっきから断続的に与えられている快感のせいでそれを言葉にする余裕はない。思考回路は既に奪われていた。
「あっ、も……、むり、んん、……ッ、う、んんっ」
「無理って言ってる割には、かなり気持ちよさそうに締めつけてくるんだけど」
「うる、さっ……、あっ」
「木原君後ろからヤるの好き? 俺は好きなんだけど」
「……きらい」
 どうせ嫌いって言ったって、好きなようにヤられんのは分かっていることだ。抵抗もせずに力を抜いてると動きが止まった。大沢を見ると、きょとんとした顔で見下ろしている。
「えー、何で?」
「かお、見えないし。何されてるか分からないから」
「へ、そんな理由?」
 バカにしたような顔で見るけど、受け入れるこっちは何をされてるのか分からないことほど怖いもんはない。できることならやりたくない。目隠しも。
「嫌なもんは嫌だ」
「やっべ、超可愛い」
「だからぁ……!」
 可愛いって言うなよ、と怒るのも面倒になってきた。大沢は満足そうな顔で俺の体を抱き上げると、腰を掴んで動かし始める。一度イってからは、早漏だってことを忘れさせるぐらいしつこく攻めてくる。早漏が違うってのは本当のようだし、早くイってしまったのは俺のせいだって思うとなんか恥ずかしくなる。背中に手を回して抱きつくと、大沢が俺の背中を撫でる。それすらも感じてしまって体が震えた。
「んぅ……、あ、やっ、も、むりだって」
「えー、俺は全然無理じゃないんだけどなぁ」
 動くたびに内壁が擦れて凄く感じる。何回かイかされたせいで、体はとても敏感になっていた。溢れ出る先走りを大沢は手でこねくり回して、先端を刺激する。
「あ、ッ、は、んん、も、ッ、やめ……」
 やめてしか言えない自分がとても情けない。目元が熱くなって、涙まで出てきてしまった。こんなにも感じさせられたのは生まれて初めてだ。中沢と付き合ってるときも俺は受身だったけど、こんなに感じることはなかった。やっぱり相手の技量なんだろうけど、中沢以外とヤったなんて大沢しかいないから、大沢がどれほど上手いのか俺には分からない。しがみ付いていると、耳たぶを舐められる。
「ッ、ッ……!」
「耳弱い?」
「き、くな、あっ……、やだ……、もうむり」
 何度無理と言ったことか。分からなくなるぐらい訴えたけど、大沢は俺の言葉を全部無視してやりたいようにやっていた。結局、その後もイかされ続けて、どこが優しいのかさっぱり分からなかった。
「ねー、木原君。ご飯食べてなかったよね。おなかすかない?」
 バスタブにもたれながら、大沢の言葉は無視する。さっきからずっと無視し続けてるって言うのに、大沢は満足げに俺の髪の毛を撫でる。終わってからもやられたい放題なのは、俺が動けないからだ。腰が抜けたんだか足に来てしまったのか分からないが、とにかく立てなかった。そんな俺を見て、大沢は「かーわいいー!」と喜んでいるのでバカか! と怒鳴った。それでも上機嫌な大沢に俺の気持ちは通じない。
 頭も体も洗ってもらって湯船に入っていると、うとうととしてくる。さっき外を見たらうっすら明るくなっていた。今日は土曜だから休みだけど、月曜から仕事にいけるのか不安になる。そしてなんだかんだ言って体を繋げてしまったことに、今更羞恥心を覚えた。
「嫌いな食べ物無かったよね」
 大沢は俺の気持ちなんて考えずにやたらと話しかけてくる。体が温まると、俺の体を持ち上げて風呂から出し、バスタオルで体を拭いてくれる。至れり尽くせりだ。その後、黒いインナーを着させてズボンを履かせ、俺をソファーに座らせると携帯を片手に持ちながら料理を始める。どうやら仕事の電話らしく、難しい顔をしながら喋っていた。そんな大沢を見ていると邪魔なんじゃないかと思って気が引けてくる。でも動けないからこの場にいるしかなかった。太陽が昇った空を見つめて、大きく息を吐き出す。
「ごめんねー。昨日、仕事で揉めてたみたいでさー」
 食事をテーブルに運びながら、大沢は笑いながらそう言う。仕事で揉めてたのに、俺のところへ来たのか。なんて言うやつ。唖然とした顔で見てると、大沢は「だいじょぶ」と言って俺にキスしてくる。何が大丈夫なのか、俺にはさっぱり分からん。
「優秀な部下が何とかしてくれたみたい。今のは嫌味の電話」
「……部下に嫌味言われるのかよ」
「一つ下だからねー。あ、木原君と同い年か!」
 どうやら部下と歳が近いらしい。まぁ、大沢自身「俺、異例だから」と自慢げに言ってたので、俺の一つ上で課長なんてあまり居ないのだろう。顔も良くて、仕事も出来て、しかもセックス上手くて料理まで出来るって、コイツ、本当にハイスペックだろ。改めて大沢と言う人物を見直してみると、自分とは不釣合いすぎてイヤになってくる。
「はーい。かんせー。あーんってやってあげようか?」
「いりません。いただきます」
 近寄ってくる大沢を押しのけて箸を掴む。いかにもイタリアンとかフレンチとか洋食のイメージなのに、大沢が作った食事は焼き魚に味噌汁、納豆と純和風だった。しかも美味い。
「どう? 美味しい?」
「……美味い」
 素直に答えてしまうぐらい、美味かった。
 おなかがいっぱいになると今度は眠気が襲ってくる。知らない間にベッドは綺麗に整えられていて、うとうとしている俺を見て大沢がベッドに運ぶ。さっきまでここでどろどろにされてたのを思い出して恥ずかしくなったけど、そんな気持ちよりも眠気のが勝っていてすぐに落ちてしまう。寝る間際まで、大沢は俺の頭を撫でていた。
 こんなに完璧すぎたら、好きになるのも少し躊躇う。

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